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甲佐町の新旧時代が交差する古民家改修ワークショップ(こうさてんプロジェクト)

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みんなで作り上げる新しい交流拠点

76日(土)10時、天気は快晴!仁田子にある築140年の古民家「旧西村邸(旧西村民俗資料館)」に、学生やボランティア、甲佐町地域振興課の職員など約30名が集結し、3回目の改修ワークショップ(2日間のうちの初日)が行われました。

「旧西村邸」は、平成10年頃から昔の農具や機械、生活用具など、200点を超す品を保存・展示してきた民俗資料館です。平成28年度の熊本地震で建物は被害を受けましたが、町内外の人たちを交えて協議し、宿泊施設とカフェを備えた交流拠点施設として生まれ変わるための計画を立てました。

この改修工事は専門業者を交えて昨年の11月から行われています。大工さんから専門的な知識を教えてもらえるのはもちろん、参加者同士が楽しく交流できるのも魅力です。

まずは自己紹介から。日頃の勉強に生かせればという建築科の学生さん、子どもと一緒に参加したお父さん、リノベーションに興味があって熊本市内から参加した女性など、幅広い年齢層です。遠くは上天草市の湯島から来られた方も!

このワークショップを監修しているのは、建築を通して地域づくりを行っている「松下生活研究所」。過去2回のワークショップで、外壁板の壁張りや竹木舞(たけこまい)づくり、断熱材・床張りを行ってきました。今日の作業は、1.木ずり壁づくり、2.板のくぎ抜きと洗い、3.外壁の仕上げ塗りです。

 

職人さんの手ほどきを受けながらの作業

具体的な作業の説明は、大工の浦田さんより。木造住宅に精通している数少ない大工さんの一人です。少年のようにキラキラした瞳で「木ずり壁」の構造の話をする姿が印象的でした。

改修は、古民家に向いているという真壁造(しんかべづくり)で行われています。真壁とは、柱や梁などの軸組が表面に見えている壁のこと。柱と柱の間に壁を納めるのですが「木ずり」という幅の狭い板を間柱に打ち付け、土壁を塗っていきます。専門性が低く、ノコギリと金づちと釘、そして浦田さんいわく“やる気”さえあれば誰でもできるのが特長です。

木ずりは土壁の下地になるもので、横からの力に抵抗する役割を果たすそうです。尺金(さしがね)で基準線を引き、ノコギリで切って木ずりを作ります。現場での作業は建築科の学生さんでも滅多にできないらしく、「授業とはまた違う臨場感が楽しい」と嬉しそうでした。

途中から「中央よりも左に手を添えて」「90度になっているか確認して」と、浦田さんから指示が飛んできます。時には耳に差していた鉛筆を手に取り、目の前の角材に図を描いて説明することも…。どうやら、大工あるあるだそうです()

少しずつ隙間を空けながら、作った木ずりを水平に間柱に打ち付けていきます。土壁を塗る際、隙間に土が入り込み、柱と柱を密着させることができるのです。 

 

コツをつかみながら少しずつ成長

屋外では、釘を抜いて板を洗う作業の真っ最中。元々家屋に使っていた板を天井兼、2階の床にします。釘を打ち出しバールで抜く作業、なんだ、そんなもんかと侮るなかれ。言うほど簡単にはいきません

先端が曲がっていれば切り、釘を真っすぐにして打ちやすくします。中には、錆びついて木の板と一体化している釘も。そんな時は、金づちで叩くと木から離れて元の状態に戻るそうです。慣れない作業に「なかなか抜けない!」「こっちの面に釘を押し出すんだっけ?」と、皆さん四苦八苦の様子。

抜いてみると見慣れない形の釘です。今は作られていない「鍛冶屋釘(かじやくぎ)」という巻き釘で、当時、1本ずつ鍛冶屋さんが手作りしていたものだとか。形も太さも長さも違います。柔軟性があるので、木材に打ち込む際に木の節をよけて曲がるそうです。

板が大きく反らないための目釘も刺さっていました。どうやら竹串のようです。「自然のものは長持ちするし、放っておいても土に還る。究極のエコですよね」と浦田さん。一枚の板に昔の大工さんの工夫や智恵が詰まっています。

抜いた釘は「ガンガン」に入れる、金づちを打つ時は「ウマ(作業台)」に近づけると力が伝わりやすい、バールで抜けないときは「ウォーターポンププライヤー」で“てこの原理”を使うなど、専門用語が飛び交い、今日だけでまるで大工になったような気分です。

黒味がかった板は、洗うことで赤みを帯びてきます。こうした質感や色合いを楽しめるのも参加者の特権です。

 

時が経つごとに効率も上がり交流も深まる

外壁塗りのグループも盛り上がっていました。前回に引き続き「バトン」という舗装材を使い、仕上げの塗装を行います。脚立に上り、片手にバケツ、片手にハケという不安定な格好は、見ているだけでドキドキしますが「脚立の片方だけに乗るといいのよ」とコツを教えてくれます。

休憩中は皆さんが自然と輪になってお弁当を広げていました。学生さんと不動産屋さんが情報交換をしている横で「終わったらタピオカジュースを飲みに行こう」と楽しそうに話す女性陣たち。お腹が膨れたら、午後からもうひと頑張りです。

「職人さんに技術を教わりながら、自分の手で建物の改修をする」、これはめったにできない貴重な体験です。お友達同士やご家族の皆さんと一緒に楽しく参加できますよ。ぜひ、一緒に甲佐町の新たな交流拠点を造りませんか!ワークショップは8月を除く毎月、来年の2月まで行われる予定です。必要なのは、そう、“やる気”だけ!

 

第4回ワークショップ

日程:令和元年9月7日(土)、8日(日) 

時間:午前10時から午後4時まで

内容:木ずりの漆喰(しっくい)塗り
※上記日程および内容については予定です。変更になる場合があります。
※10月からのスケジュールは決定次第、下記サイトにてお知らせいたします。

「甲佐町こうさてんプロジェクト」https://kumamoto-kosa.com

 


 

「古民家改修ワークショップの参加者募集について」

参加料:無料
※当日のお弁当代(500円)は各自の負担となります。

お申し込み期限:
保険やお弁当の発注の都合上、各ワークショップ開催日の3日前までにお願いいたします。

お申し込み先

合同会社 松下生活研究所(甲佐町受託事業者)
TEL:096-202-4136  FAX:096-202-4055

INFORMATION

合同会社 松下生活研究所(甲佐町受託事業者)

TEL
096-202-4136