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届けたいのは「おいしい暮らしと潤いと夢」(株式会社木村 甲佐工場・慶屋 工場直売店)

食べにいく

“あられ”と“せんべい”の違い、言えますか?

大所帯には必ずと言っていいほど常備されている米菓。決して派手な存在ではないけれど、あればつい手が伸び、一度食べ始めると止まらなくなる無限のループに誰もが一度は陥ったことがあるのでは?今回は「木村のあられ」でお馴染みの、株式会社木村の甲佐工場とその直売店を訪ねてきました。

こちらでは、もち米を主原料とする「あられ」や「揚げ餅」、小麦を主原料とするスナック菓子「塩せん」などを180種類ほど製造・販売しています。創業は昭和29年、熊本市の川尻町で生まれました。創業者の故・木村忠行さんは、当時21歳の若さで「あられ」の製造に乗り出したといいます。本社は熊本市にあり、工場も元々同市の近見町にありましたが、平成2年に現在の場所に移しています。

主力商品は創業当時から培ってきた「あられ」。受け継いできた「もち米・水・伝統の技」を守りつつ、新しい展開を目指し奮闘する二人のキーマンにお話を伺いました。取締役 製造事業本部長の木村 寿孝さんと、製造事業部 甲佐工場 工場長を務める力武 傑さんです。「この一帯は原料に事欠きません。その近くに工場があるというのは、少なからず利点になります」と木村さん。

「あられ」の主原料となるもち米は、甲佐町産を含む“県産”にこだわり、主に「ひよくもち」という品種を使っています。ちなみに「せんべい」の主原料は、私たちがいつも食べている白米(うるち米)です。恥ずかしながら、これまで両者の違いを知らずに生活していました。

 

こだわりの製造方法を教えてもらいました

こだわりは、製造工程にも表れています。まずは、もち米から餅を作ることからスタート。精米したもち米を粒のまま蒸し、餅つき機で100回以上つくといいます。「この“つく”という行為は、もち米の甘みを引き出す大切なポイントです」と力武さんは語ります。

その後、型に入れて冷蔵庫で冷やし、切断します。乾燥は2回に分けて。まずは餅の生地を表面だけを乾燥させ、生地の中央部分に水分が残るようにし、焼いて味付けをした後、さらに乾燥させます。この“乾燥”は、食感や味わいを決める大切なポイントの二つ目です。

その後、異物を取り除いたら梱包へ。1日で製造できる量は「あられ」の場合、8000袋ほどです。手作りの商品は「進物用」となり、シルバーの缶に詰められます。進物用のブランド名は「慶屋(よろこびや)」。名前通り、贈った相手がもれなく笑顔になる大人気商品です。

スナック菓子はメーカーから生地を仕入れ、乾燥させて揚げてから味付けします。スナック菓子だけで4050種あるそうです。九州産のゴボウ、安曇野産の葉わさび、大分産の柚子胡椒など、バリエーションは豊富です。

 

食を通して地域の活性化に一役買う

直売所では売れ筋商品を中心に、一般流通では出回らないような希少性の高い商品や県内企業とのコラボレーション商品、進物用などが並び、いつでも気軽に買うことができます。

「お菓子ならできないものはない」と、地域に根ざした商品開発に力を入れています。「納得のいく味や食感、品質となるまで何度も試行錯誤を繰り返す」とのこと。中には、キャンディーや棒ジュースもありました。

また、県立甲佐高等学校とのコラボレーション商品も生み出しています。生徒たちが刈り取った特産品のニラを粉末にし「あられ」にふりかけた、その名も「ニラみそあられ」。天草産の車海老を使った「ニラえびあられ」とともに、甲佐町農業研修センター「ろくじ館」や各種イベントで販売されています。同校との交流が深まり、音楽の先生が社歌を作ってくれていたというサプライズもあったとか。

甲佐町の広大な敷地と清らかな水の恩恵もあり、近年ではグループ会社の農業法人にて「もち米」を栽培しています。時には、地域の子どもたちを巻き込んで農業体験を行うことも。「食べ物がどうやってできているのか、そのありがたさを分かってもらいたくて。今は分からなくても、大人になってあの体験は有意義なことだったと振り返ってもらえればいいですね」と木村さん。

力武さんも「子どもたちに本当に美味しいお米を知って欲しいですね。もち米からついた餅はこんなにも甘いのか!と身を持って体験して欲しいし、それを伝えたい」と語ります。

「うちの味付けは、他社と比べて薄めだと思います。米菓本来の味を出すため」と言うように、子どものうちから「おいしいもの、本物あるべきもの」を知ることは大切なこと。直売店には、子どもたちが綴った農業体験の楽しい思い出や発見がたくさん飾られていました。

「本来、「あられ」は神様や仏様にお供えするものです。だからこそ、製法や工程に手抜き、妥協はしません。当社の商品を手にとって頂ける方々にその価値がしっかり伝わるように日々、取り組んでいくことが大切だと思っています」と、木村さんは力強く語ってくれました。

 

こちらでは毎年、1020日前後の日曜日に感謝祭として「甲佐工場祭り」を行っています。人気商品の特売の他、1万個の餅まき、飲食の出店や地元野菜の販売、太鼓やダンスなど盛りだくさん。当日はいつも開場前から長蛇の列を成しています。

地域貢献の情熱は「食」だけに留まりません。日本女子サッカーリーグの九州リーグに位置する「熊本ルネサンスフットボール」のメインスポンサーも務めています。きっかけは、2016年に起こった熊本地震でした。練習場の確保やスポンサーの支援が困難になり、チーム消滅の危機に陥った際に名乗りを挙げたといいます。

企業理念である「美味しいくらしと潤いと夢」を胸に、企業努力を惜しまず地域との連携を図る姿勢に敬意を払うとともに、名実ともに「木村のあられ」が餅のようにどこまでも伸びていくことを願います。

INFORMATION

株式会社木村 甲佐工場・慶屋 工場直売店

木村のあられオンラインショッピング
「九州うまかもん商店」
https://www.kimuranoarare.com/

住所
〒861-3244
熊本県上益城郡甲佐町大字芝原15-1
TEL
096-234-1110
営業時間
直売店の営業時間:10時00分~18時00分
休日
休日は要確認