古民家を改築した趣き深い店内を拝見
本日は美味しい日向鶏の炭火焼きが食べられると噂の「野乃家」を訪問しました。古木の上にフクロウの親子がたたずむエントランスが目印です。
入って左手の広間はギャラリー。古い囲炉裏の周りに陶芸家でもあるご主人・中馬(ちゅうまん)さんの作品が並べられています。器は購入も可能です。
空き家だった古民家を改築した和の趣き深い店内。内側の広間と外側のテーブルスペースの間にはせせらぎが設けてあり、とても風流な造りです。テーブル席は最大50人を収容可能。内側の広間も利用すると、最大70人ほどの団体でもご利用が可能です。
野乃家のある甲佐町上早川(かみそうがわ)は、九州の南北の中点と東西の中点が交わる“九州のへそ”。窓の外にはのどかな田園地帯が広がり、秋にはハゼの木が色づき、緑豊かな風景に鮮やかな彩りを添えます。
パートさん数名と一緒にお店を切り盛りするご主人。「野乃家」の創業は平成8(1996)年。12年前に甲佐町に移住されたご主人は最初陶芸に専念されていたそうですが、縁あって経営を引き継ぐ形でお店に立たれるようになったそうです。
ご主人お手製の年季の入った七輪。炭火で焼ける受け皿は割れるたびに交換するそうですが、外側の部分は20年以上使い続けても壊れたことがないそうです!
炭火焼きの日向鶏はまさに絶品!
野乃家の特徴は、ぶつ切りにされた日向鶏やお野菜を自分のペースで焼いて食べる炭火焼きスタイル。自分好みの焼き加減でいただけるのがポイントです。定番メニューとなっている「Bコース」は、日向鶏と野菜の盛り合わせに、突き出し、おにぎり、だご汁、冷そば、なますがついたボリュームたっぷりのセット。Bコースのメニューに季節のデザートがついたものが「Aコース(要予約)」です。鶏皮やぼんじりといった特定の部位も個別にご注文が可能とのこと。
炭火焼きにする日向鶏は、地元から取り寄せられている宮崎県産。
突き出しは、鶏胸肉の湯びきと鶏ささみの甘煮と千切り野菜の盛り合わせ。湯びきはポン酢でさっぱりいただきます。
最初はお味噌汁だったものの、熊本のお客さんからの要望に応えてだご汁仕立てに変えたそうです。移住してきた当初はお味噌汁にだごを入れるのが信じられなかったそうですが、今ではご主人もだご汁のとりこに(笑)。ゴロッとした野菜の入っただご汁は、4つの味噌をブレンドした奥深い味わいです。
「表面を焦がしすぎず、全体にこんがりとした焼き目がつくくらいが食べ頃」とご主人。この焼き方だと肉がかたくならず、ぷりっとしたほどよい食感が楽しめます。香ばしく焼けたお肉は噛むほどに鶏肉の旨みがお口の中に広がり、タレをつけなくても絶品の絶妙な塩加減!鶏肉は足が早いので、新鮮なうちに炭火で焼いて食べるのが美味しさの秘訣ということでした。
ちなみに「野乃家」は食品の持ち込みも自由。1時間以上は炭の火力が持つので、自分で用意してきたお肉や野菜を一緒に楽しむのもOKだそうです!
お茶碗二杯分はあろうかという爆弾おにぎり!お米と一緒に押し麦が炊き込まれており、プチッとした食感のアクセントに。普段は100kg漬ける自家製の梅干しを使っているそうですが、訪問時はちょうど切らしていたとのこと…。自家製の梅干しもおにぎりによくあうと評判です。
温泉卵ののった冷そばは、地元の製麺所「肥後そう川」製のそばを使用。「卵を崩して良くかき混ぜてお召し上がりください」というご主人の助言に従って食べてみると、甘めのつゆに卵のまろやかさが加わりちょっと贅沢な味わいに。
甲佐の名店を積極的に見つけてほしい
メインストリートから奥まったところにお店があるもので、最初はなかなか客足が伸びなかったと語るご主人。口コミやテレビの取材でお店のことを広めていただき、今はカーナビを便りに来てくださるそうです。ここまでくるには多くの苦労があったとのことですが、ご主人は最後にこう語ってくださいました。
「甲佐にはまだまだ広く知られてはいないけど、いい店が探せばまだまだ見つかります。甲佐町の若者たちも町の魅力を一生懸命PRしているので、町外から甲佐に遊びに来られる方は、町のいろんな場所を訪問して、お気に入りの店を見つけてください」。
のどかな田園風景を望みながら、ゆったりと食事を楽しむ素敵なひととき。ぜひ皆様も旨い日向鶏が食べたくなったときは、「野乃家」に足を運んでみてはいかがでしょうか。